ハッピーに働く、とは?【後編】――ジュエリーブランドHASUNA代表取締役社長CEO 白木夏子さんインタビュー

2019.2
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ハッピーに働く、とは?【後編】――ジュエリーブランドHASUNA代表取締役社長CEO 白木夏子さんインタビュー

ハッピーゾンビ

実業家でありながら、一児の母でもある白木夏子さん。前回のインタビューでは、起業に至るまでと現在の活動を中心に聞くことができた。世界を舞台に活動する白木さんが考える「お金」と「働く」のあり方とは?

 

人間がそこに介在しているからこそできることがある

――昨今話題のAIやRPAの発展で、労働環境が大きく変わろうとしています。実際に、事業にデジタルツールを活用している部分はございますか?

会計や売上管理など、多くの分野、事業で導入しています。全てデータ化されていて、世界中のどこにいても仕事が出来る形にしています。役員のひとりが名古屋に住んでいることや、私も海外にいることが多いため、リモートワークを活用し、働きやすい環境作りや生産性が上がる働き方を自ら推進しています。また、外部のパートナーとのコミュニケーションもあり、プロジェクトごとでもSlackやLINE WORKSなど、様々なツールを使用しています。

 

――御社で進めている「働き方改革」「オフィス環境改善」はございますか?

会社を起ち上げた頃はやることが多く、社員の労働時間が長くなっていました。そこで労働の管理をしっかりすることで、基本的に残業禁止にしています。18時には全員帰宅していなくなるので、18時過ぎに名刺を忘れて会社に戻ったら誰もいなくて会社に入れなかったこともありました(笑)。
また、以前は百貨店に社員を常駐させて販売していました。しかし、百貨店は年末年始も営業していて、休みもありません。心を休める時間がない状態で働き続けることは「ハッピーなのかな?」と思ったら、そうではないと感じるようになりました。そこで、現在は百貨店には人を置かず、直営店舗でのみ販売をしています。

HASUNAは子供がいるスタッフが多く、私自身にも子供がいます。社内に託児所はありませんが、人それぞれの生活や勤務形態に合わせて、出勤時間も調整しています。

 

――デジタルツールなどの発展で、新しい余力時間が捻出されるようになります。その余力時間は、AIやロボットではできないようなことが人間に求められると思いますが、それはどのようなものになるとお考えでしょうか?

人間の感情を取り扱う仕事は、これからも大事になってくると思っています。感性や感情は人間ならではのものですから。これらを活性化させる仕事や遊びはこれから更に重要になってくるのではないでしょうか。

 

問題があっても自分の個性が発揮しやすい世の中になっていく

――デジタルツールの発展など世の中の当たり前が激しく変化する中で、今後、日本企業や社会はどのような点を改善する必要があるでしょうか?

人や会社、ブランドなど、その“個性”が強いところほど、自分自身の幸せがどこにあるかをわかっています。そして、そうしたところはより”個性”を強くしていきます。そういった”個性”がフォーカスされ、尊重される世の中だとより良くなるのではないかと思います。

これまでは、何でもできる器用な方が尊重されてきましたが、そうした一人一人の”個性”を消すのではなく、たとえばLGBTQの人たちの個性も受け入れられるような、多様な社会を築けていけることが大事だと考えています。

私は新しいアイデアを考えることや、対外的に何かを発信するのは得意ですが、管理能力が足りません。会社を起ち上げる前に投資ファンドで3年ほど働いたことがあるのですが、クリエイティブではない仕事が本当に苦痛でした。もっと自分のアイデアを生かしたクリエイティブな仕事をし、強みを活かせる分野や事業をしたいと思ったのも、自分で会社を起ち上げた理由のひとつです。

起業が今ほどメジャーではない時代だったら、私はあのまま辛かったのかなと思います。いろんな起業のあり方やいろんな生き方が出てきたので、少し問題を抱えている人でも、自分の個性が発揮しやすい世の中になっていくのではないでしょうか。

 

――今後必要とされるのは、どのような人材になると思われますか?

新しい価値やモノが生み出せる、考えが柔軟な人材が必要とされると思います。全く別の分野を行き来して、そこから新しい考えやビジネスを生み出せる人は評価されていくと思います。市場の変化が早いため、組織は市場の変化やニーズに合わせて、常に進化していく必要があります。

自身の進歩や改善を意識せずに、同じ居心地の良い場所に留まっていると生産性や創造性が低下していくので、常に新しいものが見えて変化し続けられる人、そして不測の事態に耐えられるメンタルの強さ、柔らかさを持っている人が強いのかなと思います。

 

――世代に関係なく、失敗を恐れてなかなか行動が起こせない人がいます。そうした一歩踏み出せない方へアドバイスをいただけますでしょうか。

友人の起業家が「成功の定義は挑戦をすることで、失敗の定義は挑戦をしないこと」という話をしていました。失敗を恐れて一歩踏み出せないのは、その時点で失敗しています。失敗したくないという気持ちもわかりますが、それは自分の心を無視していることにもなります。

たとえ行動して失敗しても、よほどのことがない限り、日本にいれば生活できなくなることはないと考えています。それよりも、やりたいのにやらない状況に自分を置いている方が、失敗なのではないのかなと私も思います。

 

今は小さくても豊かになることができる起業のスタイルがある

――ハッピーゾンビ創成プロジェクトにも関連したお話ですが、白木さんはどのように熱中できる事業を見つけたのでしょうか?

ジュエリーは小さい頃から憧れていた世界でした。5~6歳の時に感じた没入感を、仕事を通じて体験したことで満たされたところから熱中しました。それに加えて、発展途上国をはじめいろんな国を回り、いろんな人に出会いました。その時に、NGOとNPOで人権に対して活動している人たちなど、アクティビストに会う機会が多くありました。そうした人たちは、この世の中を良くしようと頑張っています。

その姿を見るのが好きでしたし、何より励まされました。今は自分の事業を通じて、新しい起業家をサポートしたり、前向きに0から1を作り出していく人たちを、心から尊敬して伴走できたりするのは、ものすごくハッピーなことだと思っています。そうした経験などが、今に繋がっています。

 

――お金の心配がなくなったら、もう1度HASUNAの事業に挑戦しますか?

半年ほど前に、投資家でオス・キャピタルワークス創業者の藤野英人さんから、「白木さんは10億円あったら何がしたいですか?」と聞かれたことがありました。その時に、「HASUNAの事業に追加投資するのと自分が共感できる起業家に投資して応援していきたい」と答えました。今、準備しているポスト資本主義のムーブメントにこの問答が繋がっています。

 

――最後の質問ですが、仕事で悩んでいる人や起業などの新たな挑戦を考えている人に対して、起業家、経営者としての立場からメッセージをお願いします!

今は私が起業した時よりも、ずっと挑戦しやすくなっています。クラウドファンディングなどのツールやエンジェル投資家が沢山出てきており、他の国と比較しても日本は起業がしやすいなと思います。

大きなビジネスをすることが善でも悪でもなく、小さいビジネスでも豊かに生きることができます。昔は松下幸之助さんや船井幸雄さんなどの偉大な経営者を目指さなければいけないという風潮がありましたが、今は小さくても豊かになることができる起業のスタイルがいくらでもある。大きい=成功ではなく、心がいかに充実しているかが大事だと思うので、やりたいことがあるのであれば、どんどん挑戦したほうがいいと私は考えています。

前編では、実業家・白木夏子さんに起業のきっかけや現在の取り組みなどをお聞きしました。
世界を股にかけて活動する白木さんの素顔を知ることができます!

●プロフィール

白木夏子 NATSUKO SHIRAKI(オフィシャルサイト

HASUNA Founder&CEO
1981年、鹿児島県生まれ。起業家。

英ロンドン大学卒業後、国際機関、投資ファンドを経て2009年4月に株式会社HASUNAを設立。

ジュエリーブランドHASUNAでは、パキスタン、スリランカ、ベリーズ他、世界約10カ国の宝石鉱山労働者や職人とともにジュエリーを制作し、エシカルなものづくりを実践。日本におけるエシカル消費文化の普及につとめている。

2018年には「パートナーシップのあり方を問い直す」をコンセプトに掲げたプロジェクト《Re.ing[リング]》をクリエイターの高木新平氏とともに立ち上げ、LGBTを含む多様な家族観・パートナーシップの社会意識変革を行う。


日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011キャリアクリエイト部門受賞。

2013年には世界経済フォーラム(ダボス会議)にGlobal Shaperとして参加。

2014年には内閣府「選択する未来」委員会委員を務め、Forbes誌「未来を創る日本の女性10人」に選ばれるなど多方面で活躍。

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